映画「おいしい給食」はコメディ映画で最後まで楽しいお話でした。しかし、そこには型にはめようとする大人や教育への批判や、子供たちの熱いメッセージが込められていました。
知らないうちに押さえつけようとしてしまっている親にも気づかされることが多い映画でした。
給食が好きとか美味しかったかどうかは別にして、子供とかかわりのある人は一見の価値ありです。
作品情報 ★★★★☆
監督 | 綾部真弥 |
市原隼人 | |
武田玲奈 | |
佐藤大志 | |
公開 | 2020年3月6日 |
上映時間 | 101分 |
制作国 | 日本 |
あらすじ
2019年10月からテレビドラマとして放映された劇場版。
時は1984年秋、常節中学校の教員 甘利田は給食マニア。同じく給食マニアの生徒 神野ゴウと張り合うが、常識にとらわれない彼の食べ方に撃沈の毎日。そんな神野は給食改革の為、1年生ながら生徒会長に立候補するが、給食の廃止が決まる。
2021年からシーズン2のテレビドラマが放送予定。
給食改革を超えた教育改革の深い話
新米教師の御園が国語のテスト問題で回答に困っていたシーンで
いかに真剣に主人公の気持ちを考えて回答したか、その熱量を判断したい。感じ方は違ってていい。正解は一つとは限らない。正解が一つではないという事は全員分答えがあるという事。
神野は言います。
先生の数だけ正解もある。
他の先生は異論を唱えます。
「大人は子供を正解に導く義務がある。」
本当に大人は正解を知っているのか?
正解を知ってるはずの大人はその程度の人間なのに、可能性のある子供に正解を押し付けていいのか。
疑問に感じます。
甘利田は与えられた給食を普通においしく食べるが、神野はその食材のマッチングを予見しマックス活かす方法を考えて食べている。
この自由な発想を大人の普通に食べる、普通に暮らすと言う型にはまった考え方の中で可能性をつぶしているのだと思います。
甘利田は気づきます。
既成概念を壊すにはリスクが必要
しかし給食廃止が決まる。給食廃止を押し通す教育委員会の人は言います。
「大人の事情、それで世の中動いている」
それに対して神野は言います。
「大事な事を大人たちで決めてしまう。」
子どもだって知っています。子供が最も影響を受ける事なのに、相談なしで大人が勝手に決めてしまっている現実。
それで大人のいう事を聞けって言っても聞けますか。
子どもは希望や本心を言っているだけなのに無責任で片付けようとする大人
大人の意にそぐわない意見はクレームとして攻撃していく大人たち。
最後は大人の事情として威圧。
給食を廃止するというのも大人だけで話し合って決めた大人の事情。
子供に意見を聞くと斬新で型にはまらない既成概念を壊すようなアイデアが浮かんだかもしれません。
でも子供は未熟だから、大人の事情なんて分からないから、常識が分からないからと思い込んでいる大人。
はっきりいって、子供の意見をとりあげるのは煩わしい。時間がかかる。てっとりばやく都合よく決めてしまいたい。でも子供たちの未来の為には、押さえつけるのではなく意見を聞くべき。
だって、大人は決めた後に意見する人の事を、非難する人と決めてかかってしまうから。
まとめ&考察
一見コメディの楽しいだけの映画かと思いましたが、子供の声や可能性を大人の事情でつぶしている現実を痛烈に批判している映画でもありました。
子どもから見える世界は、上から目線で見てしまっている大人からは見えません。
本当に子供を正解に導く必要があるのか?
子どもの希望や意見に耳を傾ける勇気と体力が大人には必要なんだと思います。
常識ではなく既成概念を超えた柔軟な考えを持った子供たち、という目線で子供たちの意見に耳を傾けると、社会はかわってくるのではないでしょうか。
学校は楽しい場所に、子供たもっと生き生きと、そして社会は自由に発言できる場所になっていくのではないでしょうか。